魚のゆりかご水田について#01
琵琶湖から湖魚が田んぼへ遡上できるよう排水路に魚道を設置することにより、昔ながらの水田環境を取り戻す取り組み…それが「魚のゆりかご水田プロジェクト」です。
その効果として、生態系の再生、地域の環境意識の向上など、多くのことが期待できます。
魚のゆりかご水田は周辺の生きものや子ども、地域、琵琶湖、農家に好ましい影響を与える取り組みです。そのため五方によし、ということができます。
田んぼはエサが豊富で、外来魚がいないため、稚魚の生残率(稚魚数/産卵数)は約30%と高く、稚魚の成育に適した環境です。生態系全体を豊かにする取り組みでもあります。
近年、子ども達が田んぼや畑に近づく機会が減っています。田んぼに魚がいることで、子ども達も田んぼや米づくりに興味を持つようになります
魚道づくりや生きもの観察会など、多くの人が田んぼを訪れるようになり、人と人との交流が生まれます。
排水路に魚道を設置することで、田んぼからの水を一時的に溜めることができ、琵琶湖へ濁水が流入するのを抑えることもできます。
滋賀県による「魚のゆりかご水田米」の認証を受け、ブランド米として販売することができます。
琵琶湖は、400万年の歴史を持つ世界有数の古代湖で、多くの固有種が生息しています。
そのなかの一種、ニゴロブナは、人々が湖辺に住み始めるはるか昔から、湖辺の湿地帯(ヨシ帯や一時的に水域となる浅瀬)を産卵の場としていました。
人々が湖辺で米作りをするようになってからも、ニゴロブナのその営みは変わらず、田んぼを産卵に最適な場所として利用するようになりました。現代でも、春…代かきを終えた田んぼに水が張られるころ、ニゴロブナは産卵のために田んぼをめざします。