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中流域での取り組み 魚のゆりかご水田について#03

「豊かな生きものを育む水田」とは生物多様性を育む、生きものの暮らしに配慮した水田および周辺環境のことです。
豊かな農地を守り、次世代に引き継いでいく取り組みを滋賀県では進めています。

豊かな生きものを育む水田16の取り組み

水辺空間の創出

1.ビオトープ水田​

生きものの生息する場所をつくっています。

2.冬みず田んぼ​

冬に生きものが生息する場所をつくります。
渡り鳥のエサ場となります。​

3.水田の小溝

水田の一部に溝をつくることで、生きものの生息する場・産卵場となります。​

4.水路の深み​

水路の底に深みをつくると、生きものの生息場所になります。​

5.水路の水深確保

水路の水深を確保し、生きものが生息、移動しやすいようにします。​

多様な流速の確保

6.乱杭・置石

水路に、いろいろな流れをつくり、生きもののエサ場や休息場をつくります。​

7.魚巣ブロック​

魚が生息・成育する場や稚魚の隠れ場となるところをつくります。​

8.ワンド​

水路に、すこし広い場所をつくると、生きものの生息する場所になります。​

生息・成育空間の確保

9.ゆりかご水路

水位を高めに保つことで、魚類の産卵・成育の場となります。​

10.石積み水路

積んだ石のすき間を生きものが利用します。​

11.稲わらの設置

生きものが、越冬する場所になります。​

周辺環境との連続性の確保(魚のゆりかご水田)​

12.一筆型魚道​

琵琶湖の魚種を田んぼに導きます。​

13.堰上式魚道​

水路の水位を高くし、田んぼにびわ湖の魚種を導きます。​

14.階段式魚道​

水路内の落差を小さくすることで、魚類が行き来しやすくします。​

小動物の落下防止・水路からの脱出

15.水路蓋

生きものが水路のうえを移動できるように蓋をします。​

16.水路からの脱出施設

排水路に落下した生きものが這い上がることができます​。

甲賀市小佐治で行われている取り組み紹介

甲賀市の中山間地域にある小佐治地区は、古琵琶湖層にあり重粘土質という粘質の土壌です。鋤をいれるには本当に力がいります。耕作を行うには難しい地域ですが、古くから糯米の品質が高い地域として知られました。皇室でも使われるほど上質のもち米作りに成功した地域です。地域の拠点施設でもある「甲賀もちふる里館」では、品種「滋賀羽二重糯」を使用したヨモギやシソ、ゴマなどの薬草による5色の「長寿もち」をはじめ、鍋物に入れても溶けない「しゃぶしゃぶもち」や昔懐かしい「かきもち」などを販売されています。

中山間地の湿気田に悩まされていたところ、豊かな生きものを育む水田づくりの水田内水路に取り組むことによって、営農機械が田に入りやすくなり、生きものにも営農にも効果があがる結果となっています。
水田内水路施工後に通年調査をしたところ、魚類(メダカ、ドジョウなど)、両生類(アカガエルの仲間)を中心に多くの生きものの生息場所を提供することができました。
またこれらの施設を活用して地域の小学校で環境学習も始め、地域がにぎわっています。

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