「魚のゆりかご水田プロジェクト」は、平成13年度から魚類の遡上実験や水田の魚類繁殖調査を行い、普及に向けた検討をはじめました。
以来、対象地域の農家の方と協力しながら「魚のゆりかご水田」取り組み地域拡大に向け進めております。
県内の取り組み地域
滋賀県内の「魚のゆりかご水田プロジェクト」に取り組む地域と実施面積(令和5年度)
魚のゆりかご水田面積の推移
取り組み状況の調査
魚のゆりかご水田プロジェクトの経緯
- 平成13~15年度
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- 試験的に、田植後の田んぼにニゴロブナの親魚を放流して産卵させ、中干しまでの稚魚の成育状況を調査したところ、田んぼは水深が浅いことから、産卵行動や孵化に適した水温に保たれるうえ、稚魚のエサとなるプランクトンが豊富にいるなど、成長面においても優れていることがわかりました。また、オオクチバスなど稚魚の外敵となる外来魚は田んぼに遡上する習性がないこともあり、田んぼでの稚魚の生残率(稚魚数/産卵数)は平均で30%、高いところでは約60%にもなるなど、琵琶湖沿岸のヨシ帯よりも高いことが示されました。
そこで、排水路から田んぼに遡上するための施設として「水田魚道排水桝」を開発しました。
- 平成16~17年度
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- 「水田魚道排水桝」方式に改良を加え、排水路の水位を10cmずつ段階的にあげていく「排水路堰上式魚道(堰上式魚道)」を開発しました。
- 米原市と彦根市において、この「堰上式魚道」を試験的に設置し、2年にわたり調査したところ、従来のものより、多くの湖魚が遡上し、効果的であることが確認されました。
- 「魚のゆりかご水田」と慣行水田(隣接する排水路に堰上式魚道を設置していない通常の田んぼ)とを比較したところ、「魚のゆりかご水田」では畦畔からの漏水が抑制でき、用水節減効果・流出負荷削減効果があることも認められました。
- 県の水産試験場や土木交通部河港課と連携して「魚の道づくり・魚のゆりかご水田検討委員会」を設置し、委員のみなさまや関係機関のみなさまから様々なご意見をいただき、平成18年3月に「魚のゆりかご水田技術指針」を策定しました。
- 平成18年度
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- 魚道設置により琵琶湖から湖魚の遡上が可能となった水田を対象に、魚道の維持管理や水田のきめ細かな水管理などに取り組んでいただいたことにともなう「掛かり増し経費」に対して、「魚のゆりかご水田環境直接支払パイロット事業(県単独事業)」を創設し、支援しました。
- 「堰上式魚道」を設置するための手引書を作成しました。
- 「魚のゆりかご水田」に取り組み、魚が遡上・成育した田んぼで作られたお米を「魚のゆりかご水田米」と命名し、この名称の商標登録を行いました。
『魚のゆりかご水田米』の商標登録について (PDF:301 KB)
- 平成19年度
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- 「魚のゆりかご水田」の取り組みに対して、世代をつなぐ農村まるごと保全向上対策(滋賀県版「農地・水・環境保全向上対策(現:多面的機能支払交付金」)を活用した支援を行うことになりました。
- 平成18年度に名称を商標登録した「魚のゆりかご水田米」のロゴマークを、平成19年9月に決定しました。決定にあたっては、一般公募を行いました。
- 「堰上式魚道」以外にも、「一筆型魚道」の普及啓発も行いました。
- 平成24年度
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- 環境保全型農業直接支払交付金のメニューの地域特認取組として「希少魚種等保全水田の設置」を位置づけ、支援を行うことになりました。
- 平成28年度
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- (魚のゆりかご水田の設置に向け、活動組織やJA・行政等関係者で構成する)琵琶湖とつながる生きもの田んぼ物語推進協議会を発足
事務局:滋賀県農村振興課、滋賀県土地改良事業団体連合会
会員:各地域の活動組織、流通組織、学識経験者、趣旨に賛同する者
活動:情報発信、活動組織のスキルアップ、普及・啓発、生産・販路拡大、その他
- 令和2年度
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- 「魚のゆりかご水田米」パッケージデザインの作成
選定委員会(生産者、消費者団体、流通組織、学識経験者、行政)を設定してデザインを選定